本書は、これまで多くの子どもと保護者に接してきた著者が、伸びる子どもの共通点として親の「待ち上手」を挙げており、子どもとどのように接するべきなのかをケーススタディも交えて解説しています。
構成は5つのステップとなっています。
- ステップ1:自分を整える
- ステップ2:ただ見る
- ステップ3:我が子から学ぶ
- ステップ4:伝える
- ステップ5:寄り添う
ステップ通り進めていく事で、「待ち上手」な親へと近づいていけます。
各ステップごとにマジックワードがあるのでそちらも余さず触れていきますね!
適度にあきらめて、自分を整える
まず最初に行うのは「自分を整える」ことです。
「え?子どもにどうこうするんじゃないの?」「自分整えても何もかわらなくね?」
そう思われた方も多いと思います。私も意味あるの?と思って読み進めました。
著者は自分の事を優先することが、返って子どものためになると説いています。
理由は、自分を整えることで心の余裕が生まれ、子どもにも優しく接する事が出来る様になるから。
そのためには、まずは自分時間の確保。特に睡眠時間だそうです。
子どもが生まれてから睡眠時間減っていませんか?
自分の時間を作るために重要なのは「あきらめる」ことです。
例えば、毎晩2品手作りしていたのなら、1品だけにしてもう1品は買ったもので済ます。などです。
子どもには手作り料理で栄養を採らせたい!思っている親御さんも多いと思います。私の家庭も同じです。
そんな時は、ある決まった曜日だけは手を抜くなどとするといいかもしれませんね。
自分を整える3つのポイント
ポイント1:子どものためより自分のため
ポイント2:習慣化する
ポイント3:朝、好きなことをする
プチあきらめをしつつ、なんでも習慣化して、悩む時間すら減らした先に自分時間を作ることができます。そして、朝にその時間を好きなことに使うと整っていくそうです。
未だ夜型人間の私は苦手意識がありますが、著者も夜型だったそうです。そこから、早寝早起きをして「早く起きると、好きなことができる」という感覚を脳に覚えさせることで朝方人間になっていったそうです。
世界のお金持ちの習慣もよく早起きて散歩や瞑想をして朝活動して、夜は早めに寝ていたりします。
成功者がやっているのですから、やらない手はないですね。
自分を整えず、こども優先マインドだと「こっちはやりたいこと我慢してるのに」とか「同じ事言わせやがって時間の無駄!」と心に余裕がなくなっていくのは想像に難くありませんね。
マジックワード:「まっいいか」
「毎日手料理したいけど、今日は総菜でまっいいか。」
「シンクは毎日きれいに洗いたいけど、まっいいか。明日洗おう。」
あきらめた分、周りにに迷惑がかかるのでは?という気持ちが湧いてきますが、著者はそんなことないと断言しています。
あきらめずに頑張って余裕がなく、忙しい気持ちの中、子どもがじゃれてきても「忙しいから、あっちいっといて!」「ちょっと邪魔!」というシーンは我が家はよくあります。
ただ、これって本当に我が子が望んでいる事なのでしょうか?
きっと子どもは「ママ(パパ)そんなにがんばらなくていいよ」「笑っているママでいてくれるだけでいいよ」と思っているかもしれません。
子どものため、子どものためと頑張りすぎていませんか?
疲れているときは、スーパーの総菜で構いません。
数日洗濯物をためてしまっていいです。
「子どものためよりも自分のため」。そのためにも「まっいいか」と自分を赦(ゆる)して、その分心と体をしっかり休ませてあげること。
本の中で”かけるのは手ではなく「目」と「愛」”という表現は私の心に響きました
マウントせずに、ただただ見る
自分を整えたら次はただ見ます。
言い聞かせる、注意する、叱るといった教えたい気持ちを一旦捨ててください。
と、いきなり言われても難しいですよね。そこで以下のポイントを押さえます。
ただ見れるようになるための3つのポイント
ポイント1:「人は直ぐには変われない」ことを理解する
ポイント2:やらない権利を認める
ポイント3:小さな変化を感じ取る
例えば、子どもが帰ってきて服を脱ぎっぱなしという状況を考えてみましょう。
「なんでまた脱ぎっぱなしなの!」「ねぇ、毎日脱いだら洗濯に出すって言ってるよね!?」
こんな事言ってませんか?私もよく言っちゃいます。
子どもは脱ぎ散らかして怒らせたいのではなく、忘れてしまうと言っています。
ここで私も含めて「人は直ぐには変われない」と悟って、ただ見ます。
逆に毎回叱りまくって服を洗濯に出すようになったとして、子どもの中では「帰ってきたらいつも怒られて楽しくない」「どうせ僕はだめな子なんだ」とネガティブ思想が根付く可能性があります。
今出来ないとしても一生そのままなんて事は無いはずなので、子どもにはやらない権利がある事を認めてあげましょう。
脱いでいる瞬間の我が子をどれだけ見ていますか?
どうやって脱ぎ散らかしていますか?
脱ぎ散らかした後、何をしていますか?
・・・中略・・・
あなたが我が子に「やらせたい」と思っていることがあるとしたら、まずはやらない理由に興味をもって、その行動をただ見ることです。
最初は我慢ですが、だまされたと思って3日続けてみましょう!
すると、小さな変化に気づきだすそうです。
我が家でも脱ぎっぱなし問題は健在です。そこで、先日ただジッと見てみました。すると、
「あれ、最初は脱ごうとしてたけど、妻が今日はデザートあるって言った後から踊りっぱなしで脱がなくなったなぁ」
と気づきがありました。いつもただ脱がないと思っていただけですが、意識が変わるきっかけを親が与えてしまっていました。
著者は「決めつける」という行為はよくないと指摘しています。まさに反省でした。
マジックワード:「どうしたの?」
「ただ見る」きっかけとなるこのワード。何か出来ない状況の時、このワードを使えば叱らなくなり、コミュ力アップするそうです。
例)子どもが怒られないために嘘をついたとき
×:嘘をついたことで、家族みんなが困ったのよ。どうするの!
○:○○ちゃんはそんな子じゃないのに。どうしたの?
ここで子どもが正直な理由を言ったら、まずはそのことを褒めて感謝しましょう。
ここまで読んで、私にはムリそう。。なんて思えてくるかもしれません、この本はその気持ちも十分汲み取って、寄り添いながら解説してくれます。
完璧を求めず、3割出来たら及第点だそうです!
横で繋がり、好きなことをさせる
親が一方的に教えるのではなく、我が子から学ぶという思想を持ちましょう。
そうすることで「待つ」ことがつらくなくなり、イライラが少なくなります。
我が子から学ぶための3つのポイント
- 横で繋がる
- 面白がる
- 学んだことを伝える
自分の「子ども」という意識でいると、教えないといけない気持ちが強くなります。
そもそもなぜ教えないといけないマインドになるのでしょうか?
「勉強させないといい学校にいけない」
「導いてあげないと、良い子にならない」
こんな気持ちが少なからずあるのではないでしょうか? 私はあります。
しかし、良い学校に行けば良い人生、導けば人生が豊かになるとは限りません。
大事なのは上下関係ではなく、横の繋がりで接っして、好きなことをとことんできる環境を整えてあげる事だそうです。
横を意識するとその子の行動に興味が湧き、面白がれる様になります。
例えば、何時間もゲームをするのをやめさせたいという悩みがあったとします。
「○○分まで!それ以上はダメ!」といってしまう事があるかと思います。
これは上下関係での接し方。横で接するという事はまず、視点を変えます。
「なぜ、こんなにも集中してできるのか?」「面白さはどこにあるのか?」などと視点をかえてみます。
そして、そのゲームを調べたり、一緒にやってみたりするのです。これは正に友達(横の関係)ですよね?
マジックワード:「もうちょっと教えて」
友達の様に面白がって共通の趣味に出来れば最強です。そして、そこから学べたことを伝えます。
「ボスを倒すためにもいろんな計算がいるんだね!面白いね!ここのやり方もうちょっと教えて!」
そして、ここまでの関係性の中で、やり過ぎる事が心配である事を伝えます。
そして、どうやってやめるかを子ども主体でルールを決めます。
もちろん、最初はうまくいかないかもしれません。それでいいんです。「まっいいか」です!
でも、ルールを守れた時は「守れたじゃん!すごい!」と、しっかり認めてあげてくださいね!
我が子から学ぶ楽しさを感じれたときが親も子どもも幸せになる秘訣だそうです!
伝え方次第で、結果も大きく変わる
子どもに言えばすべて伝わると思っていないでしょうか?
実は言葉だけでは子どもに響いていないみたいです。。
伝えるための3つのポイント
- 「間」
- 「問い」
- 「愛」
まず、言葉は伝わらないと思った方がいいそうです。
メラビアンの法則によると、人に影響を与える割合は言語7%、聴覚38%、視覚55%です。
あれだけ注意や説明しても、7%しか伝わってません。そりゃ何回も言わせることになりますね。
では、どうするのか。それは喋るのではなく、「間」で諭すことです。そして、問い掛けます。
以下の様な状況を例に考えてみます。
子どもがテストの点数が悪く、隠していました。我が子は顔を下に向け、目の前に立ってます。
親:「どうして隠してしまったの?」
子:「・・・・・」
親:「何も言わないと分からないよ!」
ストップ!
こんな風に言っちゃいそうですよね?しかし、子どもが考える間も無く問い詰めちゃってます。
親:「どうして隠してしまったの?」
子:「・・・・・」
親:「・・・・・」
(数分経過)
子:「怒られると思って」
親:「隠した方がもっと怒られると思わなかったの?」
子:「・・・・・」
待ちました。頑張りました。これができるだけでも違う様です。子どもの心に響いてます。
さらに理想的には、言葉を発したことや正直に言ってくれたことへの感謝を伝えるといいそうです。
親:「どうして隠してしまったの?」
子:「・・・・・」
親:「・・・・・」
(数分経過)
子:「怒られると思って」
親:「よく言葉をしぼりだしてくれたね。そのことがうれしいよ。お母さんもこんなことが小さい頃あったけれど、ずっと泣いていたな。あなたはえらいわね。」
子:「・・・・・」
親:「誰にでも悪いことをしてしまうことはある。きっとお母さんにも。大事なのはその後の行動だと思うんだ。これからどうする?」
子:「もう隠さないで、悪い点数でも見せる」
親:「そうだね。悪い点数だからって、頭ごなしに怒っていたことがあるから、それが良くなかったんだと思うわ。(中略)」
こんなに上手くいかないと思われますが、ポイントをつかめば限りなく近い対話ができるそうです。
「謝らせたい」「反省してほしい」と親の考えを押し付けず、「叱る」でもなく「怒る」でもなく「諭す」ことが最も心に響き渡ります。
マジックワード:Iメッセージで「私はこう思う」
一般的に子育ては相手が主語のYouメッセージが多くなります。
しかし、それは子どもにとってやらされているだけなので、響かず伸びません。
そうではなく「私はこう思う」という「愛」&「I」を伝えましょう!
(You)宿題しなさい! ⇒ (I)夕飯前に宿題終わってると嬉しいな♪
(You)まだ片づけてないの!? ⇒ (I)この前みたいに片付いているといいな♪
(You)明日の準備して! ⇒ (I)今準備終わらせてみんなでトランプしたいな♪
(You)早くゲームやめてよ! ⇒ (I)約束は30分だから次は約束守ってくれるって信じてる!
我が家もIメッセージは取り入れています。まだすぐに行動はしてくれませんが、子どもの表情はYouメッセージで伝えるよりも断然明るいです。自己肯定感ぶち上げです。
あとはよく競争しています。服を脱がないなら「脱ぐのどっちが早いか勝負ね!」といって脱ぐ素振りをすると、負けじと脱いでくれますw 今思えば、横の繋がり方になっていた気がします。
いつか必ず出来る日が来るので、その時は絶賛してあげましょう!
ムリなく続けるために寄り添う
子どものためにと思ってやっている事が、本人に伝わっていない事に苛立ってませんか?
伸ばそうと思えば思うほど、伸びないものです。寄り添う事が伸びる秘訣だそうです。
寄り添うための3つのポイント
- 過程を認める
- 追い過ぎない
- 赦す(ゆるす)
まずは一つ目。結果を見るのではなく、過程を認めましょう。
過程とは、振れ幅のこと。すなわち変化です。
ゲームばっかりする子、勉強しない子、親の理想像から離れている子でも
「今日は一日中ゲームしていなかった!」
「全く勉強しない子が参考書コーナーの本を眺めている!」
など、ただ見る事が出来れば小さな変化に気づけると思います。そこを認めてあげましょう!
これには声掛けも不要ですし、ただ我が子を見ればいいのです。マウントせずに。
そして、2つ目は追い過ぎないこと。
仮にテストの点数が悪いとき「問題集買ってきてやろう」「塾探そう」「静かな環境作ってやろう」などと考えますよね?
ただ、それらは本当に子どもの真の困り事を解決するのでしょうか?
親が勝手に「点数が悪いこと」を解決したいためにやっていませんか?
じゃあどうするか。子どもが自分で考える「間」をもって寄り添って待つ。です!
「なにも言わないからわからん!」「こんなに環境整えているのに・・・」などと思っていたら
今一度「追い過ぎていないか」振り返りましょう。追うほど寄り添いが難しくなります。
何もしないわけではなく、子どもを観察し、学び、寄ってきてくれた時に真摯に聴いて話します。
それまで、ご自身を整えておきましょう。
私は一人息子なので、一人遊びしているところを見るとなんとなく「可哀そう」と思っていました。
そして、その時に好きなゲームを夢中でやっている自分に罪悪感も沸いていました。
そこで、急に話しかけて遊ぼうとして無視され、勝手に逆ギレしていました。
何かに集中しているかもしれないのに、親目線で問題を解決しようとしていました。
子どもは「一人で寂しい」と思って一人遊びしているわけではないはずです。
寂しい時は必ず「パパあそぼ」と誘ってきます。
それまで話しかけず夢中でゲームして自分を整え、話しかけてきたら全力で応える様にしています!
マジックワード:「あなたはあなたのままで素晴らしい」
散々書いてきましたが、このワードに着きました。あなたにもお子さんにも言えることです。
テストの点数が悪かろうが、運動が苦手だろうが、思うようにいかない事があろうが
あなたもお子さんも今、生きている。もうそれだけで素晴らしいじゃないですか!
そう思えば、なんでも赦せる気になります。
許す:相手の願いや申し出を受け入れること
赦す:過失や罪を咎めないこと
許す範囲が「赦す」のほうが大きいそうです。あなたも子どもも「赦して」あげてください。
まとめ
今回は庄子寛之さんの「子どもが伸びる待ち上手な親の習慣」を紹介しました。親が「待ち上手」になることで子どもが伸びるという内容で、具体的な5つのステップを通じて親のあり方を変える方法を提案しています。まずは自分を整えることから始め、子どもをただ見守り、学び、適切に伝え、寄り添うことが大切だと説いています。各ステップには実践しやすいマジックワードも紹介されており、日常に取り入れやすい内容になっています。すぐに上手くはいかないですが、この本を何度も見返して今しかない貴重な子育て期間を謳歌しましょう!
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