【書評:No5】一生モノの教養が身につくこども経済学|意外と面白い経済を知ろう!

子育て

こんにちは!トミーです!

一生モノの教養が身につくシリーズ第3弾!

今回書評する本はこちら。
「一生モノの教養が身につく こども経済学」 池上彰

講談社より出版されている本書は、解説に定評のある池上彰さん監修のもと、「経済学とは?」という事を子ども向けにわかりやすく様々な参考例を基に紹介しています。

経済学を学ぶきっかけとして本書では五つの章立てとなっています。

  • 1章:「買う」と「売る」がわかる経済学
  • 2章:お金の仕組みがわかる経済学
  • 3章:世の中の動きがわかる経済学
  • 4章:賢く生きるための経済学
  • 5章:身の回りのお金がわかる経済学

経済学ってどこか自分にはあまり関係ないイメージですよね。でも、本書を読んでいくと、普段の行動すべてに通じていることに気づけます。

子ども向けという事もあって、難しい数式などのお話はありません。

見開きに右ページに1つの哲学が簡単に書いてあり、左ページにその詳細な説明が記載してあります。時間のない人は右ページだけ読んで気になったら左ページを読むでもいいと思います。

さっそく気になった経済学を取り上げ、書評していきます!

お金ってそもそも何?

お金と言って、何を想像しますか?諭吉さんですか?(新札は渋沢栄一さんになってますが・・)

価値があるとみんなが信じているものがお金。

お金の正体は「これに価値がある!」と人々が思い込んでいるものになります。

政府が「これは一万円の価値がある紙です」という事を信じて、一万円札に価値を感じてます。

この人々が何となく信じ込んでいるものを「共同幻想」といいます。

昔の日本は皆が欲しがる「米」がお金だったが、長持ちしないことから「金銀」へと変わりました。

ただ、これも持ち運ぶには重いため、換金できる紙「兌換券(だかんけん)」が作られました。

これを金本位制(きんほんいせい)と呼びます。

しかし、これもまた政府の保有する金より増やせないという理由で

政府を信用してお金をつくるという管理通貨制度が始まり、現在の形になっています。

ある時、子どものために高価なおもちゃを購入しました。

しかし、全く見向きもせず、おばあちゃんが手作りしてくれた人形でずっと遊んでいました。

最初は、『せっかく高いお金払って買ったのに!』と苛立ちを覚えました。

でも、子どもにとっては、支払った”お金”に価値があるから遊ぶというわけではありません。

値段が評価軸になるわけではなく、自分の”好きな気持ち”を大きくしてくれる事やモノが

評価の基準なのでは?と考えさせられました。

皆さんもお金は大事ですが、本当に価値があるのは何か。

「値段が高い」=「価値が高い」と決めつけていないか。

一度、立ち止まって考えてみるのもいいかもしれませんね!

昔の中国では、貝殻がお金だった。だから、お金に関する漢字「買」「貯」「財」などには「貝」が入っている。

言われてみれば!ですね。最近は、豆腐と納豆は実物と名称が逆だよねって話を聞いて、確かに!って思いました。

円安と円高、どっちがいいの?

大人の方もこの質問に戸惑うのではないでしょうか?

輸出で儲ける企業が多い日本は、円高のほうが困る。

立場に依りますが、経済的に見ると日本は輸出企業が多いので、円高は痛手になります。

1ドル=200円の時、日本の自動車メーカーが1台1万ドルで車を販売したとします。

この時の車の売り上げは200万円になります。

しかし、1ドル=150円の時、売り上げは150万円になり、減ってしまいます。

輸出で稼ぐ企業が多い日本は、円高の方が経済にとって悪い影響となります。

逆に、海外から輸入して日本国内に販売する企業は円安が痛手になります。

円高がひどくなると、日本政府は日本円を売って、ドルを買い込み円の価値を下げようとします。

これを為替介入と言います。

私は、なんとなく、日本は食料などの輸入が多い印象を持っていました。

最近の食料の値上げでもショックを受け、「円安」にいいイメージがなかったですが

経済的には「円高」の方が悪い影響があると知って、認識のズレを知るきっかけになりました。

円が高くなると、日本に来る外国人観光客も減ってしまう。

株もそうですが、仕組は意外とシンプルですが、奥が深いですね。

財政って何?

経済を動かす主体は、個人(家計)、企業、政府の3つに大別されます。

この中で、政府の経済活動を「財政」と言い、3つの役割があります。

「資源の配分」:教育や警察、消防、国防、道路整備など無いと困るもの(社会資本)を提供。

「所得の再配分」:貧富の差が広がり過ぎない様に調整。例えば累進課税や生活保護。

「景気の調整」:好景気、不景気の波を緩やかにする。財政政策という。

みんなの役に立つことのためにやる政府の経済活動が財政。

不景気の時は橋掛けたり、道路整備したりして、公共事業を増やします。

これで世の中に新しい仕事が出来て、働く人を増やしたり、税金を減らして経済活動を活性化させたりします。

公共事業が大事だと言ったのがケインズという経済学者です。

この話で忘れてはいけないのは、どれも財源に「税金」があるということですね。

中には、それ必要なの?と思うような事もありますよね。。。

全員の幸福を満たす事は難しいかもしれませんが、無駄な税金の使い方は避けてほしいですね!

ケインズはギャンブル好きで、外国のカジノで手持ちのお金を全額失って、帰れなくなり、友人から借金した。

公共事業が大事だ!というケインズの言葉を信用していいのか、考えてしまいますね。

バブル経済って何?

はい。これも一度は聞いたことがあるワードですが、説明するのは難しいのではないでしょうか。

値段だけが泡のように膨らんでいくのがバブル経済。

中身が伴わないまま、モノの値段だけが上がっていく状態。一見、イケイケの好景気に見えます。

しかし、政府は好景気になり過ぎない様にもします。

バブル経済の時、銀行から低金利でお金を借りた企業がどんどん土地を買収。

何に使うわけでもなく、今後、さらに土地が高騰した時に売却する事が目的であり

土地がどんどん高騰。一般の人がマイホームを建てられない状況になりました。

そこで、日本銀行は金利を引き上げると、今度は土地の価格が急降下。

企業は借金返済に土地を売却しましたがお金を返しきれず倒産。貸し付けていた銀行も倒産。

日本経済が一気に悪くなってしまいました。景気が良すぎるのも良くないという事です。

オランダでは、チューリップ・バブルという球根が高額になったことがある。

日本はポケモンカード・バブルとかあるのかもしれませんね

GDPって何?

GDP(Gross Domestic Product)とは、国内総生産のこと。もっと嚙み砕くと・・・

その国の人全員が生み出した価値をすべて足したのがGDP。

国の経済が成長している否かを判断する材料として重要とされるこのGDP。

1年や3か月など決まった期間で生み出されたモノ、サービスの付加価値を全て集計します。

前よりもGDPが増えていれば経済成長しているとされますが、日本は果たして。。。

道端のタダの石ころに色を塗って、10円で売った場合、「10円の付加価値を付けた」ということ。

付加価値つける人も素晴らしいですが、0から1を生み出す人も本当に尊敬します。

満足感の限界

経済学ではこういった内容にも目を向けます。

同じことを続けていると楽しさはちょっとずつ減る。

あるモノから得られる満足感を効用と言い、時間とともにこの効用が減っていきます。
これを限界効用逓減の法則と言います。人は自分の効用が最大になる様に行動するそうです。
名著「DIE WITH ZERO」では経験にこそお金を使えと謳っています。
モノは手に入れた時が最大効用ですが、経験は時間とともに満足感が高まるというお話があり
当時、旅行とかよりもモノの方が手元に残るし、損しないじゃんって考えていた私にものすごく強烈に刺さったのを覚えています。
少し話はそれましたが、この限界効用を用いて値段を決める参考にしているそうです。
モノやサービスを作る側も「もう1個作るコストとどれくらい売れるか」の限界効用を考えて、作る量を決めている。

どんなにテンションが上がる事があっても、ずーっと維持は出来ないという事ですね。

貿易はした方がいい?

貿易した方が良いと提唱したリカード。比較優位説といいます。

自分が得意なことに集中したほうがうまくいく。

国内だけであれもこれも作るのではなく、それぞれの国で得意なものを作り

交換(=貿易)をした方が世界全体でたくさんのモノが作れるという考え方です。

経済学では「効率的なのか」といった事を重視するそうで、分業が大切であると考えられています。

例えば、パンを作る場合、小麦を種から自分で育ていたら時間がかかり過ぎて生産性が下がります。

小麦を育てるのが得意な人(国)に頼んで、自分は得意なパン作りに集中。

短時間でお互いにたくさん作れ、交換(貿易)すればWin-Winという事ですね!

第2次世界大戦が起きたのは、仲良しの国だけで貿易するブロック経済を各国が行ったことも要因の一つと言われている。

国家規模のいじめですね。ダメ、絶対。

 

人の考え方には癖がある

行動経済学で人の考え方のクセをバイアス(偏り)と言います。

他の記事でもバイアスについて話していますが、本書では現在バイアスについて触れています。

人は「未来のトク」より「今すぐのトク」が好き。

英語の勉強や読書、散歩や運動など良習慣とされるものはやった方がいい事はわかってるのに

一旦ね。と思いながらSNSをサーフィンしたり、タバコに火をつけていたりしていませんか?

これだけ娯楽に溢れた時代だからこそ、未来のトクに目を向けて行動出来たらいいですね!

勉強サボるのも「未来のメリット」より「今のラク」を比べて、現在の快楽を優先させるから。

成功者は「未来のトク」を意識しているのかもしれませんね!

思考法には2つある

じっくり考えて決める思考をシステマティック。深く考えず早く決める思考をヒューリスティック。

と言います。

人間はできれば時間と手間をかけずにものを考えたい。

私たちは普段の生活で常に選択しています。例えばコーラを飲むのか麦茶を飲むのか。

これをシステマティックに考えていては疲れてしますので、ついついヒューリスティックであまり考えず決めてる様です。

なぜ企業があれだけCM流すのかというのも、利用可能性ヒューリスティックを利用しているから。

なんども目に触れさせることで、抵抗感をなくし、なじみある印象にするためです。

そして、人は深く考えずなじみあるものをつい選んでしまうという事だそうです。

みんなが使っているから、評価がいいからというのは一つの指標にはなりますが、深く考えるクセは

つけたいですね!

この2つは「ファスト思考」と「スロー思考」とも言う。

ファスト思考は考えが浅い場合が多いので、それを意識しておくだけでも、他の人の一歩先へ行けるかもしれませんね!

いつの間にか誘導される行動経済学

行動経済学を利用すれば「よい行動」が導ける。

行動経済学で人々の行動を良い方向へ導くようにする事をナッジと言うそうです。

ナッジはひじでそっとつつくという意味。

例えば、男性用小便器の中心にハエのシールを貼ると、そこを目掛けて用を足してしまう。

これにより便器から飛び出てる事が減り、汚れが8割も減ったという結果があります。

他にも、健康にいいことをすると月々の保険料が減る制度を導入した保険会社では

加入者が健康になる事で保険の支払いが減り、加入者自身も健康になった話。

ゴミのポイ捨てが減らない路地に、サッカーのロナウド選手とメッシ選手が描かれたゴミ箱を

2つ並べて「スパースターはどっち?」と投げかける立札を立てたところ、ゴミ箱にゴミが集まり

ポイ捨てが減ったといった事もナッジのなすところ。

強制ではなく、そっとつつく感じが重要だという事ですね!

ナッジの反対の意味で、ナッグ(ガミガミ言う)という言葉もある。

「ナッジ教育 vs ナッグ教育」みたいな本があれば読んでみたい。

国債って何?

国債は国がいろいろな人からする借金。

聞いたことはあるけどよくわからない国債。

お金を借りると、借金返済の証拠として紙面などに残します。これを債券と言います。

国債とは、国が私たちからお金を借りて、証拠として国債を発行します。

日本政府は国民から支払われた税金を使って、公共事業やサービスを提供しています。

しかし、税金だけでは足りない場合、国債を発行して、いろいろな人から借金します。

赤字国債と言って個人でも売り買いすることが可能です。

企業の業績次第で変化する株式より、国がなくならない限り利子が支払われる国債の方が

安全と言われていますが、ローリスクローリターンなので巨万の富を築くのは難しいです。

2023年度の日本の赤字国債はおよそ29兆円。

想像できない額ですね。返す気あるんですかね?

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は「一生モノの教養が身につく こども経済」を紹介させて頂きました。経済ってどこか私たちの普段の生活にはあまり関係ない感じがしていましたが、卵や野菜の値段が上がった時に物価上昇ってこのことやん!って身近に感じる事が多くなりました。本書は子ども向けに身近な経済から世界経済まで簡単に紹介していてとても勉強になります。子どもにお金の教育をと思うこの頃ですが、本書はまさに導入にはピッタリの内容だと思います。興味ある方は読んでみてはいかがでしょうか?

今回はここまで!最後まで読んでいただき有難うございました!

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