【書評:No6】もしアドラーが上司だったら|使える心理学

ビジネス

こんにちは!トミーです!

皆さん、アドラーって人物はご存じですか?

今回書評する本はこちら。

「もしアドラーが上司だったら」 小倉 広

本書は、様々な困難に直面する部下の悩みを心理学者アドラーの教えを学んだ上司が、悩みに対してどう向き合い、乗り越えていくのかを分かりやすく、丁寧に指南していく物語形式となっています。

上司とのセッションを通して、徐々に部下のマインドセットがアドラーの心理へと変化していきます。全十二章に分けられ、それぞれ日常あるあるの悩みをお茶目なアドラー上司が指南してくれます。読者も次第にアドラー心理学の軸とも言える「共同体感覚」や「勇気」が何なのか、様々な困難にどう向き合い、どう立ち向かえばいいのかがストーリー形式で分かりやすく学べる内容になっています。

人が困難という上り坂を登るには心のガソリンが必要だ。

それをアドラー心理学では「勇気」と呼ぶ。

ビジネス書ですが、実は子育てを中心とした対人関係に関する心理学がアドラー心理学です。

さっそく書評していきます!

機能価値と存在価値

仕事や恋愛で失敗したという経験は誰にでもありますよね?

そんな時「自分なんかダメだ」「自分には価値がない」って思ってしまう事もあると思います。しかし、アドラーはこの考えを真っ向から否定します。

失敗した時、下がるのは「機能価値」であり、その人の「存在価値」は何一つ下がらないと主張しています。

そんな言葉、都合の良いこと言って誤魔化してるだけでは?と思ったかもしれません。私も同じ思いでした。しかし、自分の子どもに対して愛情表現をしている時、そこに「○○出来るから愛している」という条件付きの様な感情はほとんど無く、ただただ愛おしい気持ちに満ち溢れています。

つまり、「機能価値」ではなく、そこにいるだけで幸せな気持ちにしてくれる「存在価値」が確かにあるのではないか?と考えさせられました。

本書のアドラー上司は、大人になるにつれて「機能価値」=「存在価値」と捉えてしまい、この価値を維持しないと自分はそこに存在できないと錯覚してしまい、心をすり減らしている人が多いと説いています。

都合の良い解釈でも結構で、自分そのものを受け止め、次の行動が出来ればいい。私はそれでいいのではないかと思いました。そして、自分を受け止める事も「自己受容」といい、「自己肯定」とも区別しています。

肯定はある条件下でのみ受け入れる側面があるのに対し、自己受容はありのままを受け入れるといった意味合いが強いため、自己受容と言うそうです。

当たり前ですが、失敗しない人間はいないし、失敗しないと成功もしない。仮に落ち込んでも自分の存在価値は揺るがないんだ!と。俺/私ってそういうとこあるよなぁ…まいっか!と、ありのままの自分を認め、自己受容し、機能価値は高めればいいのです!これが勇気を持つという事だと教えてくれます。

※機能価値、存在価値という用語はアドラー心理学ではないそうですが本書ではわかりやすく解説するために定義しています。

勇気の循環

ありのままを受け入れるとは、不完全な自分を認める勇気とも言えます。

この勇気を持つ人は、自分に存在価値がある事が分かっているため、失敗してもへこたれません。

自分自身を勇気づけられると、自分以外の相手を勇気づける事が出来てきます。相手は勇気づけられた事で「自分には能力や価値がある!」と思えてポジティブになります。そして、勇気づけた側も「相手の役に立っている!」とポジティブな気持ちになります。

相手を勇気づけたとき、その瞬間に、実はキミも勇気づけられているんだ。

同じ競争相手の成功に対して

「すごいね!参考にさせてもらうよ!」と優しい声掛けで祝福を送るのか。

「こんなの、大した事ないけどね」と虚しい声掛けをするのか。

言われた側は、前者はポジティブな気持ちになり、後者はネガティブな気持ちになると思います。そして、言った側も同じ気持ちになると思います。負の側面も循環するという事ですね。

あなたはどちらを循環させたいですか?

「共同体感覚」が幸福の根源?

本書で「勇気」ともう一つ繰り返し述べられるのが「共同体感覚」という言葉です。

共同体感覚とは、社会に自分の居場所があるという感覚とのことですが、最初はなかなかイメージしづらいかと思います。

勇気の循環にもあった、相手(個人でも組織でも)を勇気づけたり喜ばせる事で、自分という存在が社会に貢献していると実感して、「共同体感覚」は育まれていくそうです。

言いたいことは分かった。でも、これを身に着けて何になるの?と思った方もいるかもしれません。

ここでいきなり質問です。

「あなたにとって幸せとは何ですか?」

様々な考え方があるかと思います。ハーバード大学の「成人発達研究」によると、良好な人間関係が精神的および肉体的な健康を促進し、人生の満足度を高めることが明らかにされています。つまり、長期的な幸福とは、人間関係を良好に築ける人だとも考えられるのではないでしょうか。

そして、この良好な人間関係を築く上で「共同体感覚」が重要になってきます。じゃあ具体的に何をすればいいのか。アドラー上司はこう言います。

一日一つ、毎日誰かを喜ばせるんだ。勇気づけの声をかけてもいい。仕事を手伝ってもいい。笑顔を向けてもいい。感謝の言葉を伝えてもいい。毎日、誰かの心にガソリンを入れるんだ。

そうです。答えはシンプルなんです。他者のために、一日一善をすることなのです。誰かを喜ばせる事が「共同体感覚」を育むという事だと考えられています。これを言われた部下は、人の目が気になったり、良い事をしても無視されたり、バカにされるといって悩みます。本書ではそういった悩みにも向き合って、アドラー上司が指南してくれます。

それは誰の課題か?

人目が気になる部下。そんな時、上司はアドラーの興味深い言葉を部下に伝えます。

人の目ばかりを気にしている人は、自分のことしか考えていない人である。

他人を意識する事は相手のことを気にかけている様に思いますが、アドラーは全く逆だと主張しています。確かに、自分がどう思われるかが常に先頭にあって、結果的に人の目を気にしているのかもしれませんね。

例えば、公園やスーパーで子どもが駄々をこねて大声で泣きだした時、白い目で見られないか。しつけがなっていない親だと思われないか。などいろんな気持ちが渦巻くと思います。しかし、これらは自分が周りからどう思われるかが先頭にあって、子どもの事は二の次になっているのだと思います。私も耳が痛いですが、人の目を気にする国民性だけあって、周りは気にするな!と簡単に割り切れない気持ちもあります。

アドラー心理学に「課題の分離」という考え方があります。これは、自分のした事に対して、相手がどう思うのかは自分ではコントロールできず、相手次第であるため、相手の課題であると考えます。逆に自分がコントロールできる事を自分の課題として分離します。こうすることで、相手の課題に対して、悩む必要がなくなり、気持ちの切り替えが一瞬で出来る様になります。

やらかした時、いくら悩んでも自分に都合の良いように捉えてくれる様にはなりませんよね?そんな時こそ、「それは誰の課題か?」と自問して、コントロールできない時は相手の課題と割り切って、自分のコントロールできる課題に時間を使いましょう!

おわりに

今回は小倉広さんの「アドラーが上司だったら」を紹介しました。ストーリー仕立てでアドラー心理学を学ぶには入りやすい一冊だと思います。一見、子育てと関係なさそうな内容かと思うかもしれませんが、子育て中心の心理学であり、親としては知っていて損は無い一冊だと思います。子どもが失敗して落ち込んだ時、存在価値と機能価値を教え、勇気づけしたり、子育て時期に悩む様々な事柄に対して、課題の分離という考え方を持つだけでも悩みが減って、自分もお子さんも心が軽くなるのではないでしょうか。自分も相手も勇気づけて、誰かを喜ばし、子どもと一緒に幸せな人生を送りましょう!

今回はここまで!最後まで読んでいただき有難うございました!

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